空飛ぶドクターと行ったお伊勢詣りと和歌山熊野詣

入院中で車イス使用の進行性核上性麻痺の夫と新千歳空港から飛行機で旅行に行ってきました。

2013年5月22日(水)〜5月24日(金)


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※いま見ているページは、「第三日目」です。




第三日目

↑おはよう〜。旅も最終日になりましたが、今日もお天気。三日間とも最高のお天気。この写真は、和歌山県の串本ロイヤルホテルの一階の朝食会場「レストラン ソレイユ」の入口から、外を見た風景です。北海道の樹木や、空の色、海の色とまたちがいます。

↑左がホテルの建物、真ん中にホテルのプールが見えます。

↑バイキング会場となると、人が入り乱れて混雑していますが、予約席という風な、ほかの人とはちがう席が用意されていて、ゆったり朝食をいただくことができました。
 写真は、リュウの刻み食で、すでに用意されていました。刻み食としては、ここも立派です。「おみそ汁にトロミはいりません」と事前に伝えていたのですが、今回の旅行、すべてトロミはついてませんでした。

↑私は、バイキングとのことで、食べたいもの取りに行きましたが、スパゲティが乱れています。人は入り乱れていませんでしたが、私のスパゲティが乱れていました。
 二人が食べ終わるころ、「リュウもバイキング見に行こう」と誘い、ぐるっとひとまわりました。そして、オレンジジュースと、ホットコーヒーを持ってきて、リュウは両方飲みました。水分をじゅうぶんに摂らないといけません。

↑朝食も終わり、売店に寄り、リュウと見てまわりました。私は、この「黒あめ那智黒」という那智黒総本舗の飴を買いました。黒飴といえば、沖縄の方だと思っていたのですが、那智も黒飴が有名なんですね。那智黒石という碁石とかに使う石の産地で、それにちなんで飴も作られたそうです。この黒あめ美味しかったです。
 また、この飴を利用して作った「黒飴ソフト」というのもこの辺いったいで売られていて、二日目の那智山の売店で、リュウといただきました。これも美味しかったです。

↑これが、二日目、那智山の売店で買った「黒飴ソフト」です。

↑こちらは串本ロイヤルホテルの売店で買った「串本大島きんかんのど飴」です。こちらも美味しかったです。




 さあ、いよいよ、串本ロイヤルホテルを出発します。なにごともなく、過ごすことができました。お部屋の窓から見える熊野灘、橋杭岩、素晴らしい眺めでした。みなさん、お世話になりました。

 次は、次の目的地まで、バスの窓からの観光です。

 この時点私はちょっと気になっていることがありました。一日目の夜、二日目の夜とリュウはちゃんと眠っているのかな?ということです。私がパチッと目をさますと、リュウもパチッと目をさましていました。そして私が目をとじると、リュウも目をとじていた?同時に目をあけたりとじたりするでしょうか?もしもよく眠れていなかったら、この三日目はしんどいはずです。坂本先生に睡眠薬をいただけばよかったかな?ともかすかに思いましたが、いま処方されている薬に睡眠薬が入っているので、それも躊躇しました。いずれにしても、三日目のバスからの観光は、助かった〜!と思いました。

↑バスの窓から撮影しています。正面に白く見えるのが、「くしもと大橋」です。串本と紀伊大島を結んでいます。ガイドさんがずっと説明してくれています。くしもと大橋を背にし、本州最南端の近くを目指して、バスは走行しています。左下の紺色の丸いのは、リュウの帽子です。

↑写真は、本州最南端の「潮岬」です。真ん中に小さく見えるのが、「和歌山県朝日夕陽百選」の碑で、プレートに「潮岬」と書いてあるそう。

 これとは別に、潮岬には「本州最南端碑」というのがあります。

   潮岬の象徴のような「潮岬灯台」はどうにか写真におさめられないかな〜

↑バスは、潮岬を通過して、海岸線をそのまま時計回りにまわっています。この写真、海も海岸線もきれいですね。

あ!この写真に、潮岬の「潮岬灯台」が写ってます!老眼で見えませんか?では、拡大してみましょう。

↑ほら、写っています。やった〜!

↑串本潮岬側から、串本海中公園方面の眺めです。

↑バスは、カチョカヴァロの先のような潮岬のある地形のところから、紀伊半島の国道42号線へ(その後、34、31、33号線へ)。海を左側に見て、大阪方面に。
 北海道では見られない珍しい樹。フェニックス。

↑白良浜。真っ白い砂で、帰ってからリュウが看護師さんに、「スナ・・ガ・・・、シロイ・・・」と旅行の感想を言っていたそうです。それほど、印象に残りました。
 この三角に盛られている白い砂は、これから造形物をつくるためだそうです。

↑白浜町の「円月島」。真ん中の丸い空洞が満月の形をしているためこの名前が。そして、ここに夕日がはまる瞬間があり、「和歌山の夕陽100選」に選ばれているそう。一度見たら、忘れられない形の島ですね。

↑昼食会場でもある和歌山県白浜町の「とれとれ市場」に到着しました。ここは西日本最大の海鮮マーケットです。
 お店の中を歩いて見学しています。水槽をのぞき込むリュウ。

↑「地物みなべ産ラケットハゲ」。北海道では見ることがない珍しいさかな。皮膚がサメのよう?

↑「リュウ、見て見て!あのラケットハゲっていうさかな。サメみたいだね?めずらしいね!」

↑「丸はげだって!これも見たことないね!」

↑「タチウオだって!なんでもめずらしいね!」

↑さかなコーナーを見終わり、ちがう売り場へ。

 「和歌山って、南高梅とか梅が有名だものね!リュウ、すごいね、この梅酒!」

 和歌山県みなべ町が発祥の地である「南高梅」、その梅干しは、北海道のスーパーに必ず置いてあり、なじみ深いです。

 「とれとれ市場」をぐるっとリュウと見てまわったあと、昼食までじゃっかん時間がありました。私は、リュウがあまり眠れていないで疲れていないかと心配になり(本人もあまり眠れなかったと言っていました)、江口優子さんに、どこかで休ませて欲しいと言いました。すると、近畿日本ツーリストの和歌山支店長さんもその話を聞いて、「とれとれ市場」の事務所の方のロビーに置いてあったソファーのところに誘導してくれ、休ませてくれました。「とれとれ市場」の事務所のみなさんも、ありがとうございました。

↑「とれとれ市場」の昼食です。私の普通食。真ん中のが鍋でバター焼きで焼いて食べる食材。サーモン、イカ、タコ、ホタテの貝柱等。

↑リュウの刻み食。もう食べるにいい具合です。リュウの鍋のものは、もうセットされていました。
 旅行中、リュウが席に座ると、すべての食事が、食べるにいい具合になっていました。連絡してくださった方、用意してくださった方、ありがとうございます。

↑イカとタコの何個かが飲み込めなくて、食事が終わって、バスに乗っても口の中に。まあ、こういうこともあります。他は飲み込めました。
 ごちそうさまでした。

 上の写真にチラッと写っていますが、和歌山のお菓子屋さん、福菱の「かげろう」というお菓子がついていました。ほかに、かどやの「うすかわまんじゅう」もついていました。  

↑「とれとれ市場」で買った和歌山のお菓子屋さん「かどや」の「熊野古道の鈴」というカステラ。カステラが鈴の形になっています。おいしさがギュッとつまっています。

 さあ、昼食も終わり、「とれとれ市場」をあとにします。この時の時間は、13時です。

↑バスは、高速道路の阪和自動車道・湯浅御坊道路に入り、途中トイレタイムで吉備湯浅パーキングエリアへ。そこの「紀州路ありだ」(有田郡有田川町熊井)という物産販売施設にも寄りました。
 有田と言ったら「有田みかん」。その時期になると北海道のスーパーでも必ず見かけ、南高梅同様なじみ深いです。「ありた」ではなく「ありだ」なんですね。北海道の人は、「ありたみかん」と発音していますが、正しくは「ありだみかん」ということですね。

↑「麹アイス」ののぼりが。気になります。

↑梅を利用した食品もたくさん売られていました。さすがは、本場です。

↑こちらも梅を利用した加工食品。たくさんあります。

↑さあ、「麹アイス」(販売者グリーンソサエティー)です。有田郡湯浅町は醤油の発祥の地だそうで、お醤油をつくるのに欠かせない麹で、アイスを作ったそうです。
 これがまたおいしかった!味が濃厚で、しかも甘みは砂糖をいっさい使っていなくて、麹の甘みとのこと。甘酒のような味です。

 ん?甘酒のような味のアイス?それなら、北海道も負けてはいません。

↑こちらが、千歳鶴酒ミュージアム(札幌市中央区南3東5)限定の「酒粕アイスクリーム」です。ほかに限定で、「酒粕ソフトクリーム」もあります!こちらも甘酒の味のようなアイスですが、味はあっさりしています。

 さあ、アイスバトルも終わり、バスは、関西国際空港へ。

↑関西国際空港に着きました。15時です。来たときの中部国際空港も初めてなら、帰りの関西国際空港も初めてです。

 建物に入る前に、運転手さん、バスガイドさんとお別れです。ありがとうございました。

↑「リュウすごい建物だね!関空に来るなんて考えてもいなかったよね!」

↑関西国際空港で買った和歌山のお菓子屋さん福菱の「柚もなか」。

↑こちらは、和歌山の福豊梅の梅干し。

↑こちらは、箱に入った「赤福」

 空港の中もぐるっと見てまわり、買い物もし、トイレにも寄りました。
 今度は、空飛ぶドクター坂本泰樹先生と近畿日本ツーリスト和歌山支店長さんとのお別れです。
 坂本先生は、今回は一緒に飛行機に乗っていないので、「地を行くドクター」だったのですが、先生は『空飛ぶドクター』というのを登録商標として取得しているということもあり、こういう風に使っています。

 ここで一人の女性の参加者の方が、坂本先生のところへかけ寄りました。
 「先生!先生が処方してくださった風邪薬、本当によく効いたわ!本当にありがとう。ありがとう」
 先生の手を取るようにして、何度も何度もお礼を言っていました。
 この女性は、旅の途中で気が付いたらマスクをしていて、コホンコホンと咳をしていました。でも、三日目の今日は、マスクをしていませんでした。治ったのです。よかったですね!
 ※旅行の最中に必要に応じて、坂本先生から処方されるお薬は旅行代金に含まれているそうです。ただし、現地の病院にかかった場合は、自己負担になるそうです。


 坂本先生、支店長さん、さようなら。
 ありがとうございました。


↑一般の方より先にセキュリティチェックを受け、中へ。

 このセキュリティチェックが大変でした。

 凶器または危険物になりうるハサミやナイフなどは機内に持ち込めないのですが、私たちも含めて、他の参加者の方も、それらのものは持っていませんでした。
 しかし、一人の方の手荷物に、ナイフらしきものが写っているということで、それを探す探す。言われている方もナイフなど持っていないので、なぜそう言われるのかわかりません。そのうちに、すべての荷物をひろげることに。そしてやっとわかりました。ナイフらしきもの。それは、この旅行記の「出発前と持物」で写真を掲載していますが、からだが不自由な方のためのスプーンだったのです。このスプーンは、柄の部分が様々が角度に曲げられるようになっていて、この方のスプーンの角度が、ナイフの様に写ったのでした。
 検査する方も、される方も、何がナイフのようなのかわかりませんでした。
 私たちの荷物にも入っていましたが、角度がそれほどついていなくて、通ったようです。
 あと、人はセキュリティゲート(金属探知機)を通るのですが、これまた大変。
 リュウは、人工関節が一カ所、入っているのですが、みなさん、からだのどの部分に人工の物が入っているのか(金属反応があるもの)、時間をかけて細かく聞かれていました。何年も前の物でしたら、自分でも普段あまり意識していないかもしれません。

 このあいだ、ず〜〜っと、坂本先生と支店長さんが、向こうから手をふってくれていました。私も手をふっていましたが、手がだるくなるくらいの長いあいだの時間がかかりました。
 でも、おふたりともみなさんを見守るようなあたたかい目で、ず〜〜っと手をふってくださいました。ありがとうございました。

↑いよいよ機内へ。写真の車イスは個人の物ではなく、ANAのものです。
 新千歳空港では、飛行機に乗ってから、両方の車輪をはずしたのですが、今回は、飛行に乗る一歩手前で、車輪をはずすようです。車輪は、車イスの横幅を縮めるためにはずします。
 車イスを押してくださっているのは、客室に誘導する係の男性の方です。

↑心配して声をかけてくださっている客室乗務員さん。

↑外された車輪。バラバラではなくて、ふたつつながっています。この車イスは、各空港の各航空会社専用の飛行機の中に入るためのもの。ですから、用事が終わると降ろされます。持参した車イスは、荷物扱いです。機内でトイレに行くときは、もっと簡易な車イスが積んであるそうです。行きも帰りも車イスのままトイレに入れるタイプの飛行機でしたが、リュウは機内のトイレは使いませんでした。
 また飛行機によっては自分の車イスで機内に入れるものもあるそうです。

↑慎重に前輪を上げてもらい、機内へ。

↑はい、いま、飛行機に乗り込みました。全日空1717便です。

↑座席と座席の通路に入る前に、後ろ向きになります。

↑それから、肘掛けをはずしました。座席に乗り移りやすいためにと、車イスの横幅を縮めるためです。

↑一般席の前の方の席に向かって、移動しています。さきほどの男性の方が車イスを操作し、客室乗務員さんがうしろから手をのばし、リュウのひじがぶつからないように気をつけてくれています。

↑三人がけの一番窓側の席に、がんばって座りました。
 リュウがこの席に座るには、前、横、後ろと三人がかりです。ですから、ほかの乗客の方がいらっしゃらない時じゃないと、座るのは困難です。やはり一番最初に乗り、一番最後に降りるのが、いいと思いました。
 リュウはしっかり窓の外を見ていました。関西国際空港です。

 みなさん、ありがとうございました。

↑そして飛行機は、関西国際空港のある大阪を出発しました。出発は16時50分です。

   飛んだ飛んだ〜。

 リュウもしっかり窓の外を見ています。

↑リュウがたのんだ飲み物「スープ」です。

 結局リュウは、飛行機の中でも、バスの中でも、私が知っているかぎり、目はパチッと開いていて、起きていました。

↑18時45分、北海道の新千歳空港に着きました。飛行機から連絡通路に、後ろ向きで降りるところです。
 客室に誘導する係の男性の方がまた操作してくださっています。そしてその方は、行きでもお世話になった方でした。

↑「あれっ!行く時にお世話になった方ですよね!」
 「そうです。覚えていてくださったんですか?」
 その方は車イスを前向きにしました。そして、押してもらいながら会話しました。

 みんなひとりひとりのお仕事が社会をささえてくださっているんだな〜


 そうして、無事に新千歳空港に着きました。他の方と、お別れの挨拶をしました。

 みなさん、ご縁があり、一緒に参加できよかったです。また、いつかお会いできたらと思います。お元気でいてください。

 時間は19時も過ぎていて、薬を飲む時間もあり、イスに座り、コンビニからカステラとか簡単なものを買ってきて、夕食として食べてもらい、リュウに薬を飲んでもらいました。

 帰りは、身障者手帳を提示して、駐車料金を払い、病院へ。
 アロハ オラの江口優子さんは帰りの列車の時間もあり、結局私たちが出発するのを、見送ってくれました。

 江口さん、ありがとう〜。

 病院へは、21時くらいになると思うと伝えていたのですが、玄関の前に着くと、病院から電話が。時計を見ると、21時だったのですが、出てみると看護師さんで、遅いから心配で電話したとのことです。

「あっ、いま、玄関の前でこれから上にあがります」

とあわてて言い、あがっていくと、看護師さんがてきぱきとパジャマに交換してくれ、リュウはベッドに横になりました。
 私はその時の安堵したリュウの表情も忘れられません。

 リュウは今回の旅どうだったんだろう?
 私は帰りの車の中でリュウに質問しました。すると、

「大変で楽しかった」

と言いました。

 そうだね!リュウ。大変だったし、楽しかったね!私も同じだ。

 とりあえず、なにごともなく、無事に帰ってこれてよかったよ。
 私たち、思いきったことしたもんだね。

 

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   江口優子さんの会社 ALOHA OLA(アロハ オラ)のホームページはこちら(←クリックしてください)です。
 空飛ぶドクターの坂本泰樹先生のホームページ 旅行医学の「カノヤ・トラベルメディカ」(←クリックしてください)です。

 入院中の進行性核上性麻痺のリュウと多動と自閉症の個性を持つ次男ワタルとの日常を綴った私のブログ「やさしいまなざし」はここをクリックしてください。



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