ハゲ増す会始動する!

パン君とりー坊、その仲間のストーリーです。

2012年4月〜


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第二回ハゲ増す会 その4



 定山渓温泉の紅葉のスポットを巡る季節限定の観光バスの「かっぱバス」、この日の私たちの乗る便は、はそれほど混んでいなかった。
 ダンシとジョシがバスに乗るなんて、修学旅行以来?私は、昔に戻ったみたいでワクワクした。でもバッグには、缶ビールが入っているので、そこは大きな違いだった。
みんなで後ろの方に座ったが、ダンシは、一人ずつ座っていた。一番後ろに、林君。その前がりー坊。またその前が、パン君。通路をはさんで、パン君の隣りにまりえちゃん。まりえちゃんの後ろに、私とサラが座った。

 バスが出発した。バスが空いているので私は、

(これがもしも高校時代だったら、ツッパリのダンシは、前の座席に両足をかけていたかな?)

と思い、ハッとして首を180度動かして、パン君、りー坊、林君を見てみた。でも三人とも缶ビールを片手に窓の外の紅葉を黙って見ている風だった。
 かっぱバスのバスガイドさんは、観光協会の男の人で、プロの人と比べると、少々聞きづらかった。

(これが高校時代だったら、ツッパリの男子は、罵声怒号をはなっていたかもしれない)

 そう思い、またハッとして首を180度動かして、ダンシを見てみた。するとやはり、黙って窓の外の景色を見ている風だった。
 バスが最初の紅葉のポイントに止まった。みんなぞろぞろと降り始めた。

(そう言えば、高校ではバス通学する人が圧倒的に多く、ツッパリグループがよくバスの運転手さんと、降り際に喧嘩をしていた)

と思い、ハッとして、バスを降りるダンシを後ろからじっと見ていると、喧嘩することなく、普通に降りていた。
 その後もバスは、要所要所に止まったが、ダンシはやっぱり、

(かったるいからバスに残るわ!)

ということも言わず、みんなと一緒に行動し、ここが見どころですよという場所に行き、写真を写したりしていた。

   そこで私は考えた。

(ジョシには付き合ってもらうこと、何とも思わないけど、紅葉を見るための団体行動って、ダンシ的にはどうだったんだろ。もしかしたら、私が張り切っているから、その気持ちに応えようと、無理して付き合ってくれているんじゃないかな?)

 そうして、申しわけなかったかな?と思い始めた。

(でも・・・。でも、もしも形を変えてまたこういうことがあったら、私はまたみんなに提案するんじゃないかな?また同じようなことを。あっ!そっか、自分がかけたいという迷惑や、わがままはかけていいんだ。仲間だから。みんなそう思っているんだ。そして、自分がかけたいという心配ごともかけていいんだ。仲間だから)

 私はそう思って、かっぱバスを降りた。初めてじっくり見る定山渓の紅葉は、きれいだった。


↑紅葉の季節だけ運行される定山渓のかっぱバス。


↑かっぱバスを降り、橋の上から写した一枚。

2013.3.31 Vanilla記



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