ハゲ増す会始動する!

パン君とりー坊、その仲間のストーリーです。

2012年4月〜


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第二回ハゲ増す会その2



 10月21日の土曜日、いよいよ初めての一泊二日温泉宿泊の日の朝が来た。行き先は定山渓温泉で、ホテルの名前は、ニコニコホテル。メンバーは、二期生のパン君とりー坊、林君。サラと私。それに七期生のひで君とまりえちゃん。

 その日の朝、私は子どもたちの何食かの食事の準備をし、それから病院に移動し、リュウの朝食の手助けをした後、11時のサラとの待ち合わせ場所に、車を走らせた。
 その日はあいにくの雨。傘をさしていたサラを助手席に乗せ、途中、二人で寄り道をしながら、定山渓に向かった。

 高台にあるお洒落なカフェでお茶をしたあと、レストランでランチ。その後、ケーキ屋さんのイートインコーナーでケーキセットを食べた。楽しかった。
 私は、おもにきんさんぎんさんと過ごす時間でのことをサラに話した。サラも職場でのエピソードとかを話してくれた。
 それとサラは高校の時から読書家で、私は今何が面白いのか?と聞いたりした。
 あと、カフェに置いてある小物だとかがかわいいね!と話した。ジョシ同志の醍醐味は、「かわいい」とか「きれい」を思い切り共有できること。逆にジョシは、不潔なものや汚ないものが苦手だ。

 ケーキ屋さんのケーキセットを食べた後、私たちは定山渓の観光協会を目指した。なぜ定山渓の観光協会を目指したのかというと、紅葉のこの時季だけ運行される定山渓の紅葉のスポットを巡る「かっぱバス」のみんなの分の予約をするため。電話での受け付けはしないとのことだった。

 私は、パン君が病気を公表する一ヶ月前の2012年の1月に、私たちの高校のヤフーの掲示板に「今年のオフ会は趣向を凝らしたい」と書き込んでいた。何かこうみんなで「体験」をしたかった。ススキノで忘年会する前に、ノルベサの観覧車に乗るだとか、はとバスならぬ札幌観光バスに乗るだとか。あと、温泉一泊もいいし、無理だろうけれど二泊三日で外国に行くだとか、何でもいい、みんなで体験を共有したいと思った。1月に書き込んだら、夏でも秋でも、計画を立てるのにはじゅうぶん時間があると思った。

 第二回ハゲ増す会の日が決まり、ホテルも予約をし、あとは当日は待つばかりと思っていたところ、ある日、このかっぱバスの運行のことを新聞で知り、私はこういうのもやりたかった!と、みんなに提案し、参加することにしたのだ。

 私とサラは無事に、かっぱバスのみんなの分を予約することができた。
 車は、宿泊先のニコニコホテルに停めてもらうため、今度はそこから近くのニコニコホテルに向かった。
 ニコニコホテルに着いたのは2時過ぎ。

 雨もすっかり止み、午後の明るい日差しの中で見るニコニコホテルの外観を見て、私とサラは、驚愕した。外壁一面に黒カビが付着していたのだ。建物も老朽化しており、それなりのホテルを想像していた私とサラは、困惑した。ジョシは、不潔とか汚いものが苦手だ。他のメンバーはバスの発車時間に合わせてくるため、まだ到着していない。私はサラに言った。

「この建物に入ったら、黒カビ病になる。私が黒カビ病になったら、リュウにもうつってしまう。パン君も建物に入ったら、黒カビ病になる。私たちは病人抱えているから、ホテルを変えてもらおう」

 サラは私のそのセリフを聞いて、なお困った顔をした。そして、スマホを取り出し、メンバー全員が見れるラインに、書き込んだ。

「ホテルが・・・」

 それだけ見てもホテルがどうしたのかわからない。他のメンバーは、ホテルがどうした?と書き込むしかなかった。


↑サラとはしごした一軒目のカフェから見える風景。高台にあり夜は札幌の街の光が見えるそう。


↑サラとはしごした二軒目のレストラン。


↑サラとはしごした三軒目のケーキ屋さんの庭に置いてあったオブジェ。

2013.3.31 Vanilla記



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