ハゲ増す会始動する!

パン君とりー坊、その仲間のストーリーです。

2012年4月〜


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第二回ハゲ増す会その1



 2012年の2月ヤフーの掲示板でりー坊がパン君の病気を公表した。その後掲示板にりー坊が、第一回ハゲ増す会を開きたいと書いた。
 その書き込みからすぐに、七期生のまりえちゃんが、ミクシィの非公開グループをつくり、メンバーをどんどん招待した。不特定多数が閲覧出来る掲示板では、打ち合わせができなかったのだ。
 それを機に、書き込みの中心は、ヤフー掲示板から、ミクシィに変わって行った。
 そこで具体的な打ち合わせをし、そうして、4月に行なわれた第一回ハゲ増す会は無事に終わった。すべての音頭を取ったりー坊は、事前に会場となるお店の下見をしてくれ、料金の交渉や準備も念入りにしてくれた。一次会、二次会、三次会とりー坊がすべて事前に段取りしてくれていた。

 第一回ハゲ増す会が終わりしばらくして、第二回開催の話しが出た。今度は、初めての温泉一泊だ。10月開催で、場所は定山渓となった。今回の手配は、今回は不参加だが、第一回ハゲ増す会に出席していた大手旅行会社に勤める東川君に、りー坊が条件を言い、頼んでもらうことになった。その条件とは、二時間飲み放題付きの部屋食で、料金が一万五千円位までだ。着々と準備は進んでいた。
 ところが最終確認になっても、私と同期の二期生のサラの返事がない。最初の返事の通りだったら参加のはずが、その後書き込みもなく、本当に参加でいいのか、確認ができなかった。
 そこで、サラにメールした。

「もうホテル予約するみたいなんだけど、参加でいいんだよね?」

 すると、

「・・・。面倒なの。億劫なのっ」

と、吐き出すようないつものサラとはちがう感じの返信が来て、びっくりした。いつものサラは、積極的には参加というのでもないが、誘われると気軽に参加し、みんなと楽しく過ごしていた。
 私は、あれっ?と思うと同時に、ある心配事が浮かんで来た。

 それは私は、診察室でリュウのななめ後ろで、専門家から認知症のテストを受けていたり、いつもアンテナをはり巡らし、新聞やインターネットで、認知症の情報をキャッチしていたので、認知症のことにほんの少しばかり詳しく、サラは認知症の初期症状のひとつに似てると思ったのだ。
 認知症になると、人と会うのが億劫になり、出不精になり、家の中に閉じこもり気味になることも起こる場合がある。逆に、認知症の予防には、どんどん外に出て、人と会うことが効果的だ。そう言った変化に気付いたら、家族親戚や友だちなどまわりの人のこと、みんなで注意し合うといいと思う。早期発見、早期治療が望ましい。
 そこで、サラに認知症の初期症状のひとつに似ていることを説明し、メールした。サラは、現役の看護師さんだが、認知症に詳しいかわからなかった。
 すると、

「あはは!私が!」

と返信が来た。そのメールを見て、私は、また不安になった。自覚症状がない人が多いのだ。そのため、受診に至らないことも多い。
 私は、これは強引に連れ出すしかないと思い、

「このままなら惚けるから定山渓行くよっ!」

とメールした。
 この私のメールをきっかけに、観念したサラは参加を表明した。

 ここで後日談だが、第二回ハゲ増す会が無事に終わった翌日、サラからあらたまった感じのメールが来た。

「あのとき、無理に誘ってくれてありがとう。参加出来て前向きなれた自分がいた。職場でいろいろあって、悩んでいて、そこから抜け出せなかったの。でも、みんなに会って、みんなと一緒に過ごして、そうしたら、そこから抜け出せたの。ありがとう」

 なんと私は、サラに感謝された。

2013.3.10 Vanilla記



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