ハゲ増す会始動する!

パン君とりー坊、その仲間のストーリーです。

2012年4月〜


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第六回ハゲ増す会



 2014年という年も終わり、これを書いている2015年になった。
 温泉一泊の第6回ハゲ増す会をまた開こうという話が出た。パン君の体調も大丈夫とのこと。
 日にちは2月7日〜8日。人数も把握し、よこけんが登別温泉を予約してくれた。

 楽しみ。

 ところがパン君は1月19日の受診で病巣が大きくなっていると言われてしまった。そのため1月26日から2週間の入院が必要に。入院日翌日の27日からまた新しい抗がん剤にすることにもなった。
 そうなると確実にハゲ増す会の日は入院中となってしまい、みんなの意見でキャンセルに。予約していたハゲ増す会をキャンセルするのは初めてのことだった。
 私たちはその事態を一つ一つ受け止め、ラインで励まし、りー坊を始め、会える人は何回も会いに行った。
 私はなかなか行けなくて、自宅で祈った。

 しかし・・・、3月4日にハゲ増す会ラインに次のことをりー坊が書き込んだ。

「2月28日に医者から抗がん剤も効いていなくてもう治療法もないと告げられたそう。今後自宅での緩和治療になると思う。癌ができた部位により、2月中旬より食べ物はダメで、飲み物はいいそう」

 りー坊は泣きながら書き込んでいた。パン君自身もどういう風にここに書き込めばいいのかわからなくて、りー坊が代わりに書き込んでくれたのだ。

 みんなもショックだった。

 自宅に緩和治療で戻ってきたパン君。
 りー坊が地元で飲む計画を立てた。3月27日だ。
 平日の夜だったけれど、札幌組も駆けつけた。
 そうして、パン君とりー坊、甲斐君、林君、谷下君、サラ、美穂、タンク、よこけん、ひで君、まりえちゃん、私が地元の居酒屋に集まった。

「ビールとか飲み物は大丈夫なの?鍋物のつゆは?豆腐は?これは?これは?なんか気の毒で・・・」
 パン君の前に座っていた美穂が、パン君の前にいろいろなものを差し出していた。パン君はそれらには手は付けなかった。ビールだけ飲んでいた。

「美穂は肝っ玉母さんみたいだ。頼りになるって感じで、いい奴」
 後日パン君が美穂をことを、そうラインに書き込んでいた。

「旦那さんは大丈夫か?」
 ハゲ増す会で顔を合わせたパン君は私に聞いてくれた。

 こんな時まで、ありがとう、パン君。

 りー坊もみんなも最後まで希望を捨てずにあきらめない気持ちで一致していた。

 この日のパン君との別れ際は、みんな自然と抱き合うような感じだった。






2015.5.17 Vanilla記



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