ハゲ増す会始動する!

パン君とりー坊、その仲間のストーリーです。

2012年4月〜


もくじと主な登場人物に戻る。
次のページの12りー坊の私への大切な教示

※いま見ているページは、『11 第二回ハゲ増す会その7』のページです。



第二回ハゲ増す会 その7



 翌日私が早朝目を覚ますと、他のジョシはまだ寝ているようだったので、一人で温泉に入りに行った。
 女風呂には先客が一人いた。年配の女性のようだった。湯船に入ろうと、つま先をお湯につけるのだが、すぐに引っ込める。どうしたのかと思い尋ねてみると、「熱すぎて入れない」とのこと。「こっちの浴槽はどうですか?」と私が言うと、同じくらい熱いとのこと。私も確かめてみた。

「あっつ〜い!」

 本当に熱い。とても入れるような温度ではなかった。その女性はあきらめて、そのまま上がってしまった。私は、温泉に入りに来たのに、入れないのはおかしいと思い、思いきって入ってみた。が、バラエティー番組でよく見る熱湯風呂に入るタレントみたくなった。

(このホテル、信じられない!頭に来る!)

 二日目の今日もまたそう思った。

 部屋に戻ると、サラが起きていて、昨日の続きを教えてくれた。

「あの後ね、りー坊が目を覚まして、ミクシィに写真をアップしたこと知って、激怒したの。それでね、まりえちゃんがミクシィから全部写真を消していたわ」

 サラは、可笑しいねという風に笑っていた。

「その後、またみんなで飲み始めたんだけど、まりえちゃんがパン君に殴られて、泣いちゃったの」

「え!ど、ど、どうしたの?」

「うん、ちょっとね。今まりえちゃん、隣の部屋に行ってるから、私たちも行こう」

 そう言って、私とサラは隣の部屋に行った。みんないた。

「おはよう〜。昨日、まりえちゃん、パン君に殴られて泣いちゃったんだって?」

「ハイ・・・、すごく痛かったのと、自分が情けなくて、泣いてしまいました」

 するとパン君が口を開いた。

「まりえちゃん、ここのところ酒癖が悪くて、俺とりー坊の頭バシバシ叩くだろ?」

 あ〜、そう言えばそうだ。ミクシィで、パン君とりー坊が、地元ミニハゲ増す会でまりえちゃんが、頭を叩いてくるって書き込んでいたっけ。止めろといくら言っても、叩いてくるって。第一回ハゲ増す会の二次会でも、酔ったまりえちゃんが隣に座ったパン君とりー坊の頭をパシパシ叩いていたっけ。
 ついに堪忍袋の緒が切れちゃった?

「俺、髪の毛ないから、直接響くんだよ!気がつかないと思うけど、髪の毛って、本当に大事なんだよ!有り難いものなんだよ!」

 カミノケ、ダイジ、アリガタイ・・・

 その真剣なパン君の口調が、私の頭の中にその後もずっとずっと残った。


「そんなことが・・・。あと、りー坊の写真もミクシィから削除を?」

 そう私が言って、今度はりー坊を見てみると、りー坊がかんかんに怒っていた。

「一番最初に寝てしまった俺が悪かったんだ!次は一番最後に寝るからな!覚えておけ!」

 ふと、まりえちゃんと見ると、ひとり言をいいながら、スマホをいじっていた。

「この写真、りー坊さんの着信の待ち受けに登録しましたから、電話かけてみてください」

「電話なんかするもんか!その元の写真も消せ!今すぐ消せ!」

「え〜〜っと、そうだ・・・、バニラさんに送信完了。サラさんにも。ひで君にも」

 そう言うや否や、私のスマホにあのりー坊の写真が届いた。それを見て、やっぱり、クスっと笑ってしまった。

「くっそ〜!覚えておけ!次はぜったいぜったい、一番最後まで起きててやるっ!」

 りー坊は、定山渓のニコニコホテルで、そう叫んだ!

2014.1.4 Vanilla記



このページの一番上へ▲


このページの感想は、Cafeつぶ庵(掲示板)までどうぞ。




 入院中の進行性核上性麻痺のリュウと多動と自閉症の個性を持つ次男ワタルとの日常を綴った私バニラのブログ「やさしいまなざし」はここをクリックしてください。



Copyright (C) 2003-今年 Vanilla Web Site All rights reserved.